主婦まっしぐら

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矢幡洋著【病み上がりの夜空に】あらすじ&感想

      2014/10/06

20141002124316

先日、携帯を持ってぐだぐだサーフィンをしていた時に、偶然1つの記事を見つけた。

読み始めたら、話が深過ぎて一気に釘付けになり、サイトにアップされている記事を読んだ後、その記事がある本の抜粋だと気づいて図書館で借りてきた。夕方読み始めて、寝る間も惜しんで一晩で読んでしまった本。

私が読んだのとは別の章ですが、今も一部公開されています。
>>「『負担』と言えば『ありのままの子どもを受け入れろ』と責められる。障害児の親に辛いと言う権利はない。」(外部リンク)
(10月5日までこの章が公開されていますが、5日以降、次の章が公開されるようです)

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目次
あらすじ(ネタバレなし)
感想
すごく個人的だけど、参考になったこと
追記:【数字と踊るエリ】も読んでみた
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あらすじ(ネタバレなし)

著者、矢幡洋さんは、自閉症のエリちゃんのお父さん。
お母さん、奈緒さんの幼少期の話から物語はスタートする。奈緒さんは、幼少期の経験から高校生の頃に解離性障害を発症し生きる意味を見失うが、後に、心理療法家を志し旦那さんとなる著者の矢幡洋さんに出会う。矢幡洋さんも臨床心理士なので、二人で新宿にカウンセリングルームを立ち上げるが、娘、エリちゃんの子育てにより休業せざるを得ない状況となる。

でも、子どもの頃はまだエリちゃんが自閉症だとはわかっておらず、二人とも普通の子と何か違うと感じながらも、いつか普通の子と同じように落ち着く日がくるはずと信じて育てて行く。が、小学校入学の検診の時に、自閉症であることがわかる。お父さんとお母さんの目線からエリちゃんを育てる上での気持ちや変化が書かれている一冊。
 

感想

最初、ページをめくった時、「あれ?私が借りた本、自閉症の子の親が書いた本じゃなかったっけ?」と思い、一瞬、本を間違えたのかと思った。でもそれは、自閉症の子(エリちゃん)の母、奈緒さんの幼少期の頃の記録だと途中で気づいた。奈緒さんの幼少期の頃の話が壮絶すぎて、読んでる途中に何度も小説なのかリアルなのか、わからなくなったほど。

この本のすごいところは、お母さんとお父さんの二人の視点から話が進んでいくので、自閉症の子と向き合っている両親の全然異なる視点がわかるところ。あと、臨床心理士の親であり、自閉症の子だからこそ気づけたであろう、心や成長の小さな小さな変化をしっかりと見つめているところに驚かされる。

読んでいて、最も興味深かったのが、この話がどこで着地するんだろうという点。他人とのコミュニケーションがとりづらい自閉症の子を抱えたまま、悪化していく夫婦仲………でも、希望で終われなければ自叙伝なんて出せないはずだから、きっと読んだ後には何かの光があるんだろうなとは思ったけれど、その光をどこに見出せるのか私にはわからなかった。

でも、最後の一文まで読んで、なぜ著者がこの本を書こうと思ったのか、何を伝えたかったのかがわかった気がした。生きることの強さを教えてくれる1冊。
 

すごく個人的だけど、参考になったこと

自閉症の子の育ち方とか、それに伴って変わる両親の心境もすごいなと思ったけれど、私にとって印象的だったのは、お父さんとお母さんの会話を、お父さん目線で書いたこの文章。最初はお母さんの台詞です。

「私、学生時代に、周りが遊んでいても、見向きもせずに勉強してきた……あの努力って一体何だったの?人並みの人生すら手に入らないのなら、あんなにがんばる必要なんてなかった。自分の努力って全部が無駄だったんだって、人生すべてを否定したくなってくる」
「君は、努力すればそれに見合った成果が返ってくると思っていたの?」
僕は驚いた。奈緒は僕が驚いた顔をしたことに驚いていた。
「そういう感覚は、俺には全然ないな。多分、俺もかなり努力家の部類に属すると思う。でも、『こんなに努力したんだから』って感覚がまるでないんだよ。何の成果が返ってこなくても、『あぁ、最初からこうなる運命だったんだな』と思うだけで、あんまり失望しないんだ。力を入れた本が売れなくたって『ふうん』って程度にしか思わない」(P238)

言いながら僕は、奈緒の最初の論文のタイトルは『青年期における目的意識と成長』だったことを思い出した。目的を掲げて頑張ることによって困難を乗り越えてきた。全てのことを宿命として受け入れてきた僕とは根本的に異なる人間なのだ。そして、健全で前向きな人生観を持った奈緒は挫折にひどく傷つき、最初から人生にろくなことなどあるわけないとふんでいる僕の方がペースを変えずに淡々と走り続けている。(P239-240)

男性と女性の違いなのか、たまたまなのかわからないけど、私の旦那さんもこの著者と同様の考え方だと思う。毎日がジェットコースターで浮き沈みが激しい私と比べて、目の前で起きていることを受け止めて淡々とこなしていくのがうちの旦那さん。

以前、悲しいことが起きた時に、「悲しくないの?」と聞いたら、「俺が悲しんでも2人で暗くなるだけやし…」と旦那さんが言った。「いや、そうやなくて、悲しいかどうかは感情の問題やん?」と私が言ったら、「まぁ、仕方が無いんちゃう?」と言われて、この人よくわからん。と思った。

でも、この本を読んで、なぜ旦那さんがあんな風に、良くも悪くも強いのかが少しわかった気がした。
 

追記:【数字と踊るエリ】も読んでみた

20141006
著書の矢幡さんの前の著書、【数字と踊るエリ】も読んでみました。【病み上がりの夜空に】よりも実際にエリちゃんのために行なった療育法方が具体的に書かれており、その中でのお父さん目線からの苦しみも詳細に書かれていました。【病み上がりの夜空に】の方が全体的なストーリーとしては興味深く読めましたが、子どもの育て方に迷った時などに読めば、力をくれる一冊だと思います。
  

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最初の章があまりにも衝撃的。前の「数字と踊るエリ」では少ししか登場しなかったお母さんの生育史なんですが、私とそんなに年が離れているわけではなさそうなのに、これってお母さんは被虐待児だったってことですよね。果たして思春期になってから、離人症・摂食障害・不登校とてんこもり状態で精神科を引きずり回されることになります。病的な心理状態の描写が専門家だけあってえぐるような迫り方でひざが震えました。
 お母さんは当然自分が育てられた環境とは全く違う家庭を築こうとするわけですが、子供には自閉症という発達障害が・・・労力をものすごく使う育児にお母さんの健康はボロボロになってしまいます。エリちゃんの「キッズモデルになりたい」等の三人の夢がそれぞれ挫折してゆく過程が描かれます。次第に自我を成長させたエリちゃんとお母さんはうまくかみ合わず、激しく衝突するようになってしまいます。
 第1章以降で多少中だるみを感じないこともないのですが、最後の章になって、またショッキングな展開が・・・ついに夫婦はお互いの生き方の違いをぶつけ合うに至ります。結婚時のくだりは「おのろけ?」と思った部分もありましたが、子供の障害をめぐる夫婦の方針の相違から、その絆がずたずたになってゆく過程をお書きになりたかったのですね。極限状況下での夫婦の最終対決はひざがまた震えました。
 異常な出来事が次々に起こり、一気読みさせるだけのストーリー構成はすごい、のひと言です。矢幡さんも最近は「有吉ゼミ」やクイズ番組への出演などでキャラ作りされてましたが、裏にはこういう事情がおありだったんだな〜と前と似たような思いを持ちました。
 とにかく面白い!感動もしたのですが、「ほのぼの」育児ものが好きな方には真逆だと思います。万人向けではないな、という思いが残ります。最初の異様な出だしで引きずり込まれるかたと拒絶するかたと、完全に分かれてしまうような気がしました。

 
 


<著者からの一言>
この2年半、新著を出すことが出来ませんでした。ひたすら、この本を書いては直し、また改稿するということを繰り返していました。書き始めたときには、「日本で初めての家庭療育成功記を書いてやる」という思い込みや意気込みがありました。しかし、書いてゆくうちに「これを実名で発表していいのだろうか?」と恐ろしくなりました。苦しんだあげく、こういう形になりました。
「はじめに」にも書きましたが、特定のアプローチの効用を宣伝しようという意図は僕には全くありません。ましてや、僕たちの選んだ道を正しい選択肢として提示しようなどとはさらさら思っていません。
僕はただ、この本を、一つのケースとして、提示したいと思いました。だから、記録をたどりながら、事実をありのままに書くということに徹しました。
これは、ある家族の苦闘の歴史です。自閉症に特別な関心をお持ちでない方にも是非手にしていただきたいと思いました。読みやすいドラマ性のある構成にするために僕に可能な努力は尽くしたつもりです。
本書が、この本を手にとって下さる方に、ご自分のご家族のあり方にまで思いを寄せるささやかなきっかけとしてお役に立てることを祈っています。

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