徹底解明!【人間失格】「遺書」と言われる太宰治の捨て身の問題作
2014/12/16
【人間失格】 作者:太宰治(執筆時39歳) 昭和23年(1984年)発行
あなたは人の気持ちや感情を理解しているだろうか?
人の苦しみや喜びの程度の質や量を理解しているだろうか?
あなたは何を恐れ、恐がり、生きているのだろうか?
人の気持ちや考えというのは、怖いものであり、理解し難いものである。
けれども、人は、自分が想像するよりももっと寛大で暖かな時がある。
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目次
・人間失格:これだけは絶対知っておきたい
・人間失格:読みどころと面白さ
・人間失格:もっと詳しく知りたい、読みたいと思ったら?
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人間失格:これだけは絶対知っておきたい
すぐに読める!140文字でわかる、あらすじ(ネタバレなし)
【人間失格】良家に生まれ、男前だが人の本性を恐れ道化になる事でしか生きられない大庭葉蔵は、東京進出後、酒と煙草、淫売婦に溺れる。女性との心中で一人生き残った事、妻が暴行された事でさらに生活は荒れる。その後喀血により酒を断つが今度はモルヒネ中毒になり狂人がはびこる病院へと送られる。
より詳しいあらすじを読みたい方はこちら
>>3分で読破!【人間失格】あらすじと引用(ネタバレ)
使えるまめ知識
この本が発行された年、作者は自殺した。
作者の人生と、主人公である葉蔵の人生とで、相違点が多かったことから、「遺書」のような小説だと言われているが、真偽は不明。
海外では、性的虐待を表現した小説とも言われ、問題になったこともある。
2007年、「ヒカルの碁」や「バクマン。」などの漫画で知られる小畑健が表紙を描き出版したところ、1ヶ月半で7.5万部を売り上げた。翌々年、2009年には、太宰治の生誕100年を記念して、生田斗真主演で映画化された。
人間失格:読みどころと面白さ
主人公、葉蔵の一生を単語で表すなら?
文章全体は手記(日記)のような形で書かれているのに関わらず、所々、他人が、葉蔵を評価しているような書き方になっているところ。
最初、「お茶目。」から始まり、「侘しい。」と続き、途中「蟾蜍(ひきがえる)」と称する。その後、「地獄」という表現が来て、最後に自らに「人間失格」という刻印を押す。この表現から、主人公、葉蔵の落ちて行く一生を見ることができる。
人の気持ちがわからなかった葉蔵は、最後まで人を理解できなかった?
「恥の多い生涯を送って来ました。」という一文から始まり、最後には、自らを「人間、失格」と刻印した主人公だが、彼がいなくなった後、彼を知っていた女性は、彼を「神様」と例えた。
子供の頃から、人々の考えがわからず、それに恐怖し、おののいてきた葉蔵だが、皮肉なことに、人々は彼を「人間失格」だとは見てなかった。
もしくは、自らを”人間失格”と悟った葉蔵は、作者太宰治、本人にとっては自分よりも優れているという意味を込めて、知人に「神様」と語らせたのかもしれない。
いずれにしても、最後まで、彼は周囲の気持ちを理解することはできなかったのかもしれない。
人間失格:もっと詳しく知りたい、読みたいと思ったら?
「恥の多い生涯を送ってきました」3枚の奇怪な写真と共に渡された睡眠薬中毒者の手記には、その陰惨な半生が克明に描かれていました。無邪気さを装って周囲をあざむいた少年時代。次々と女性に関わり、自殺未遂をくり返しながら薬物におぼれていくその姿。「人間失格」はまさに太宰治の自伝であり遺書であった。作品完成の1か月後、彼は自らの命を断つ。
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