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徹底解明!【ジェントルマン】山田詠美が綴る究極の愛し方

      2014/12/16

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【ジェントルマン】 作者:山田詠美(執筆時52歳) 
平成13年(2011年)発行

相手の全てを受け入れられるほど人を愛したことはあるだろうか?
相手の罪を受け入れ、そしてその秘密の共有をも心地よいとする。
そんな風に人を愛することができるのは、幸せなのだろうか?

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目次
ジェントルマン:これだけは絶対知っておきたい
ジェントルマン:読みどころと面白さ
ジェントルマン:もっと詳しく知りたい、読みたいと思ったら?
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ジェントルマン:これだけは絶対知っておきたい

すぐに読める!140文字でわかる、あらすじ(ネタバレなし)

【ジェントルマン】容姿端麗、文武両道で誰からも愛されるジェントルマン、漱太郎は、実は恐ろしき犯罪者だった。美しいまでに残酷な姿に、主人公の夢生は魅せられ、偶然だったが、共犯という背徳から夢生は漱太郎を愛し守り抜くと誓う。だが、漱太郎の心に潜むものは夢生の想像を超えたものであった…

ここまで知ったら、本を読みたくなる!

主人公は男に恋する男の子、夢生。同じ中学に容姿端麗、文武両道、誰にでも優しく誰からも好かれるジェントルマン、漱太郎がいた。

最初は、漱太郎を冷ややかな目で見ていた夢生であったが、嵐の日、実は漱太郎は、実は欲望を抑えきれない犯罪者であったことを目撃する。

大人になっても夢生は、漱太郎が犯す秘められた罪を知るただひとりの存在として、漱太郎の秘密や感情を独り占めすることに快感を覚え、それを堪能する。

漱太郎に家庭ができてもその関係は変わらず、永遠に続くようにさえ思われたが、シゲという夢生が弟のように可愛がる後輩が恋に落ちた事で、全ては変わっていく…
 
 

ジェントルマン:読みどころと面白さ

最初に出てくる写真の説明

ぼくの一番好きな写真は、「ローリング ストーン」というアメリカの雑誌のカヴァーを飾ったものだ。

この一文で始まる本書。黒いセーターと濃いジーンズを身にまとったヨーコ・オノに、裸のジョン・レノンがしがみ付いている写真のことだ。

有名な一枚の写真。なぜ、これが最初のシーンでここまで描写されるのか、ここに何が隠されているのか、最後まで読み切ることで、この意味を理解することができる。最後まで読めば納得できる、最も大切なシーン。

コントロール不要な漱太郎のエネルギーと、そこに惹かれる夢生

悪びれることなく、自分の本能だからと次々と犯罪を犯していく漱太郎。

ただ、夢生が愛したのは、誰もが知っているジェントルマンな漱太郎ではなく、コントロール不能なエネルギーを持ち、それを実行に移してしまう残酷な生き方をする漱太郎であった。

彼は、顎を上げた。その瞬間、その繊細な輪郭に似つかわしくない大きな喉仏が上下した。そこだけが卑しく自分を主張しているように見える。なんて野卑なんだ。
夢生は思った。でも、自分を惹き付けて止まないのは、まさに、突如として姿を現す、この野卑な部分ではなかったか。

世間体を守るよりも、世間体に守られるために、漱太郎は、銀行員という職や、幸せで平和な家庭を築いたが、決して壊すことのできない、そして壊す必要のない漱太郎の家庭とも関係を築きながら、夢生は、その家族を冷ややかな目で見、そしてまた、夢生だけの漱太郎を味わう。

そして、幸せそうな妻をながめながら、内なる冷え冷えとした心が口を開く。あんたが何を産み落としたのか解っているのか?この子供たちは、確かに夫婦の共同作業による結果として生を得た。しかし、それは本当の意味での共同作業ではない、ただの肉体のすり合わせ。

きみが、内なる汚ないものを捨てたいと思う時、何の苦労もなくそう出来るよう、ぼくは、自分のすべてを提供する。

 

最後まで漱太郎に理解できなかったこと

桜散るあの庭で、一組の男女が見詰め合い、瞬時に互いの内に生まれたものを理解し合った。そのことを、きみが、見破れなかったのは、何故か解るかい?それは、きみが、一度も恋の奈落に落ちた経験がないからだ。

誰よりも深く漱太郎を想う夢生に、漱太郎の正体に気づいた親友が、どうしてそこまで漱太郎を好きなのかと問いつめた時、夢生は答えた。

「だって…漱太郎だよ?」
そうだ。仕方のないことなのだ。理由なんて、ない。漱太郎だから、なのだ。

人を愛するとは、何だろう?と問わずにはいられない一冊。
  
  

ジェントルマン:もっと詳しく知りたい、読みたいと思ったら?


話の展開が巧みで文章力も抜群かつ人間観察眼が鋭敏すぎて興奮しながら読み終えた。一読して、著者の新境地かもしれないと思わせる部分も少なくない。見た目は最強レベルの紳士、だが裏では善悪の彼岸にふみこんだ悪人、という魅惑の男に惚れ込んだゲイの主人公によって、真の幸福とは何かが問われていく。鈍感な男たちの愚かさや恥知らずな女たちの醜さが嘲笑され、表面的な価値観が心地よくディスられることで、もっと大きな価値の高みが示唆される。人が人を愛するようにではなく、ほかならぬ自分が自分として誰かを愛するとはいかなることか、真摯に追求されていく。ジェントルマンの為す悪行には、嫌悪感をもよおす読者もあるかもしれない。だがその悪の「告解」こそが本書の通奏低音として流れることで、この小説は独自の緊迫感をかもしだしている。(引用)

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